回転寿司と思い出

先日家族で回転寿司に行きました。
一般的なチェーン店で、
注文した商品がテーブルごとの色のついた台に乗って運ばれてくるタイプです。
うちのテーブルは銀色でした。
途中までは問題なく食事が進んでいたのですが、
子供用の鉄火巻を注文した際に問題が起きました。
タッチパネルから商品到着のアナウンスが流れるのですが、
目の前を流れていく銀色の台の上には何も載っていないのです。
まあ、たまにはこういうことあるよね。と、
再度鉄火巻をタッチパネルで注文しました。
次に僕が頼んでいたマグロが届いたのですが、
また銀色の台の上には何もありません。
ううむと唸ってから再度マグロを注文です。


しばらくして、遠くの方から
銀色の台に乗った鉄火巻がこちらに向かって流れてくるのが見えました。
かつて、神戸まつりで、ヴィッセル神戸の選手たちが軽トラの荷台に乗せられ、
通行人の少ない商店街を運ばれていった姿に似ています。


J加盟間もない時代、僕にできたことは遠くから手を振るだけでした。
そして、選手をこんな気持ちにさせてはいけない、来年はもっと応援しよう。
そんな気持ちにもなりました。
(そんな僕の思いも、結局は数年後の三浦アツの退団で消え果てしまいましたが・・・)


そんなわけで、無事に鉄火巻が運ばれてきていることを確認して、
日本酒をくいっと飲みました。
いい思い出や悪夢のような思い出が一瞬頭をよぎりました。


そして再び鉄火巻に目を向けると、僕らの鉄火巻は姿を消していたのです。
まるであの時のアツの退団事件の様に。
あまりのショックに声も出ません。
J2におちても神戸に残ってくれたアツ。
J1昇格に最大限貢献してくれたアツ。
昇格後に「神戸で引退したい」と言ってくれたアツ。
「トモニイコウ」
あの頃の思い出がよみがえります。
そして、あの頃の(今どうなってるか全然知らねえけど)ヴィッセル神戸
クラブとしての未熟さが情けなく、
そしてアツに対しての神戸市民としての申し訳なさ。
そんな思いを再度かみしめました。


ふと見ると僕らの2つ向こうのカウンターのおじいさんが
鉄火巻を食べています。
あの鉄火巻なんだと思います。
さっきまでそこにいたあの鉄火巻です。
多分このおじいさんが僕らの鉄火巻(2皿)とマグロ(1皿)を食べてしまったんでしょう。
でも、しあわせそうに鉄火巻を食べるじいさんをみてると、
これでよかったのかもしれないという気持ちになりました。
鉄火巻2皿とマグロを一人で、短時間で食べるほどのマグロ好きです。
そんなマグロ好きに食べられるなら、鉄火巻たちも本望なのかもしれません。
最後にプロ入団した横浜の地に戻ったアツを見守ったあの時のように、
じじいがかみしめる鉄火巻を見つめました。


最終的に店員呼んで、今のところ、鉄火巻が必ず横取りされちゃうんで、
鉄火巻だけ持ってきてもらっていいですか?とお願いして解決しました。


そして鉄火巻を食べる息子に、
銀色が目印だと老人がシルバー向けだと思ってとっちゃうよね。と話しかけてみましたが、
特に反応はありませんでした。


なんであのとき、イルハンじゃなくて前園とらなかったの?と神戸の友達に話しかけた時も
こんな反応だったことを思い出しました。